YAMAHA SY99

PCMデータ処理(波形編集)の仕事を始めたわけですが、最初はSY77用の別売WaveCardの制作から入りました。
メモリーサイズも512KiBと小規模なもので、波形数も大して入らないので駆け出しにはピッタリの仕事だったんですね。

そうこうしているうちSY77の上位モデル(SY99)の話が出てきて、その波形制作を始めることになりました。
メモリーサイズがSY77の倍(4MiB→8MiB)に増えることもあり、主にSY77搭載波形のブラッシュアップと新規波形の追加です。
そして本社及び各拠点(東京・ロス・ロンドン)で波形を用意して、最終的に指定されたメモリーに収まるよう「会議」をします。
必要であればその場で修正作業(殆どがメモリーサイズ削減)をするので、当然のように会議に同行しなければなりません。

この時は浜松に3週間缶詰になり、その間海外のスタッフ、つまり外国人と寝食を共にします。
でもエイゴゼンゼンワカリマセーン(今でもw)

初めて外国人と仕事をしたのですが、当然の如くカルチャーショックありましたね。
当たり前か。
とにかく会議の場では主張はしっかりやらなきゃいかんと。

この時のエピソード(事件)は福田裕彦さんが時々イベントなどで話されていますね。
「イギリス人が音を聴き過ぎて耳から血を流した」
これ、話盛り過ぎですw
実際はちょっとかゆいのが気になって弄っていたら追い込みすぎて…というのが真相だったかと。
あと、ノルウェー人が食べ物が合わなくて病院搬送されたりもしましたが。

まぁいろいろあったものの、とりあえず東京から持って行ったサンプルもそこそこ採用されることになり面目が立ちました。

SY99はSY77の上位機種ではありますが、上位互換ではありません。
そもそも波形データは単なる追加ではなく差し替えたものが結構あるので、その時点で同じ音は出ません。

またLPFの特性もかなり変更されて、SY77に比べてキレが良くなっています。
技術的には音源LSIの仕様のかなりデリケートなところを突いたらしく、当時担当だった中田さん(現社長)が解決に奔走されたそうです。

SY99のプロトタイプは不揮発性メモリースロットのカバーの位置が違うなど、外観ですぐに見分けがつくものだったのですが、実はSoft Balletに貸し出していて、ライブやPVでガンガン使われていました。
印刷されていた仮品番はSY「チョメチョメ」だったので、さすがにそれは見えるとマズイのでSY99のシールで隠していたようです…(^_^;A

ここから怒涛の波形制作が始まり、シンセ系では後続のSY、サンプラーのA、EOS Bから、EX、Motif、CP等など、現在に至るまで波形をひたすら作り続けることになります。
とにかく波形が入るモデルなら何でもやるので、XG音源やPSR・TYROS、DTXなどなど、何をやったか並べていくのがもう超面倒w∩(〃・ω・〃)∩

シンセ関係は基本的に使わないものはどんどん処分する人なんだけども、SY99だけは手元に置いたままです。
やっぱり初めてのハード開発に参加した思い入れかなー。
殆ど使わないので、未だ新品同様のまま箱に入っていますよ(・ω・ ;)(; ・ω・)

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